「英語を話す日本語人」がおかしやすい間違えとして、
「影響」と言いたくて、「influence」という単語を使ってしまう、というのがあります。
たとえば、「原料価格が高騰した影響で、2Qの経常利益に5億円の(負の)影響がありました」
と言いたくて、「影響」にinfluence をあてて訳してしまうなどです。
influenceは、近い日本語としては「影響力」と言えます。ですが「影響」ではありません。
「影響力」vs. 「影響」を考える上で参考になるのが、ユーチューバーという言葉と同じ頃に知られるようになった「インフルエンサー」という言葉です。
インフルエンサーは、オピニオンリーダーというか、他の人に「影響を与える人」、「影響力のある人」のことです。
あの「インフルエンス」が、英語のinfluenceの語感を説明するのにピッタリです。
英語のinfluenceは、他者の言動を変えさせる力、つまり「影響力」を持つことを指します。
すっごく曲解すれば「洗脳力」に近いものすらありので、Q2の経常利益にinfluenceがあるのは、なんだか困るのです(苦笑)。
influenceをビジネスの文脈で使うのであれば、「○○氏は、スポーツファンに大きな影響力を持っている」と言った使い方になります。まさに、○○氏はインフルエンサーな訳です。
では、上記のQ2のような例でどのような単語を使えば良いのか?
答えは簡単です。impact を使えばOKです。
impact を辞書で引くと、「衝撃」「衝突」など、「ぶつかる」系の訳語が筆頭に上がりますが、「影響を及ぼす」という意味もあります。
「Q2に5億円の影響があった」というのであれば、以下のようになります。
The hike in the cost of raw materials had an impact of 500 million yen on the Q2’s ordinary income.
【前置詞メモ(._.)φ】
- ○○の hike(高騰)という時は、hike IN ○○
- ○○への impact(影響)という時は、impact ON ○○
- impactがどの程度あったか、と説明するには impact OF (5億円)
【名詞メモ(._.)φ】
- raw material(材料)は、数えられます→ raw materials
- impact(影響)は、数える時も、数えない時もありますが、「○○な影響」(例: 多大な影響、深刻な影響、軽微な影響)と、形容詞がついたり、「5億円」と例文のように具体的になった場合は、an impact と可算名詞になります。(母音[i]から始まるので、AではなくANになりますよね(^_-)-☆)
【単語メモ(._.)φ】
- 価格の「高騰」と言うには、hike や increaseが使えます。どちらも前置詞は IN をとります(上記「前置詞メモ」参照)。
- hike と increase の(微妙な)語感の違い。increaseは客観的・中立的に見て「上昇」。対する hike は、「急な値上がり」「望ましくない高騰」といったニュアンスが若干含まれます。よく使われる例:price hike(価格高騰)、rent hike(賃料値上がり)など。
- 経常利益は、ordinary income です。参考までに、経常損失なら ordinary loss。特別利益は extraordinary income、特別損失は ordinary loss、当期純利益は net income (損失ならば net loss)になります。
- まとめると「経常」= ordinary
- 「特別」= extraordinary(=extra(外の)+ ordinary(普通の)
- 利益は income、損失は loss
- 純利益、純損失などは net。(netは、「差し引いた残り」という意味になります)