影響=influenceにあらず | CLEAR Communication Consulting

2019-06-12

「英語を話す日本語人」がおかしやすい間違えとして、

「影響」と言いたくて、「influence」という単語を使ってしまう、というのがあります。

 

たとえば、「原料価格が高騰した影響で、2Qの経常利益に5億円の(負の)影響がありました」

 

と言いたくて、「影響」にinfluence をあてて訳してしまうなどです。

influenceは、近い日本語としては「影響力」と言えます。ですが「影響」ではありません。

「影響力」vs. 「影響」を考える上で参考になるのが、ユーチューバーという言葉と同じ頃に知られるようになった「インフルエンサー」という言葉です。

インフルエンサーは、オピニオンリーダーというか、他の人に「影響を与える人」、「影響力のある人」のことです。

あの「インフルエンス」が、英語のinfluenceの語感を説明するのにピッタリです。

英語のinfluenceは、他者の言動を変えさせる力、つまり「影響力」を持つことを指します。

すっごく曲解すれば「洗脳力」に近いものすらありので、Q2の経常利益にinfluenceがあるのは、なんだか困るのです(苦笑)。

influenceをビジネスの文脈で使うのであれば、「○○氏は、スポーツファンに大きな影響力を持っている」と言った使い方になります。まさに、○○氏はインフルエンサーな訳です。

 

では、上記のQ2のような例でどのような単語を使えば良いのか?

 

答えは簡単です。impact を使えばOKです。

 

impact を辞書で引くと、「衝撃」「衝突」など、「ぶつかる」系の訳語が筆頭に上がりますが、「影響を及ぼす」という意味もあります。

「Q2に5億円の影響があった」というのであれば、以下のようになります。

 

The hike in the cost of raw materials had an impact of 500 million yen on the Q2’s ordinary income.

 

【前置詞メモ(._.)φ】

  • ○○の hike(高騰)という時は、hike IN ○○
  • ○○への impact(影響)という時は、impact ON ○○
  • impactがどの程度あったか、と説明するには impact OF (5億円)

【名詞メモ(._.)φ】

  • raw material(材料)は、数えられます→ raw materials
  • impact(影響)は、数える時も、数えない時もありますが、「○○な影響」(例: 多大な影響、深刻な影響、軽微な影響)と、形容詞がついたり、「5億円」と例文のように具体的になった場合は、an impact と可算名詞になります。(母音[i]から始まるので、AではなくANになりますよね(^_-)-☆)

【単語メモ(._.)φ】

  • 価格の「高騰」と言うには、hike や increaseが使えます。どちらも前置詞は IN をとります(上記「前置詞メモ」参照)。
  • hike と increase の(微妙な)語感の違い。increaseは客観的・中立的に見て「上昇」。対する hike は、「急な値上がり」「望ましくない高騰」といったニュアンスが若干含まれます。よく使われる例:price hike(価格高騰)、rent hike(賃料値上がり)など。
  • 経常利益は、ordinary income です。参考までに、経常損失なら ordinary loss。特別利益は extraordinary income、特別損失は ordinary loss、当期純利益は net income (損失ならば net loss)になります。
  • まとめると「経常」= ordinary
  • 「特別」= extraordinary(=extra(外の)+ ordinary(普通の)
  • 利益は income、損失は loss
  • 純利益、純損失などは net。(netは、「差し引いた残り」という意味になります)